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韓国人記者が取材した大久保地域の韓国事情
講師  イ・スンミンさん(早稲田大学修士課程 )
1999年8月定例会
 
大久保では、近年、職安通りを中心に韓国系のレストランや店舗の出店が あい

ついでいます。 大久保は何処へ向かおうとしているのか、目が離せない 状況で

す。 今回は、まち居住研究会の メンバーで、かつ「ニュースダイジェスト」の 記

者でもある
イ・スンミンさん (早稲田大学修士課程)が、大久保の韓国人事情の

最前線を取材しました。

 
●●15年前は歌舞伎町のベッドタウン●●

大久保地域にいつ頃から韓国人が住むようになたのか、 歴史的なことはよく わかりま

せん。しかし、新宿歌舞伎町には多くのクラブなどがあるので、 韓国人の女の子たちが

たくさん働くために来日し、15年くらい前から大久保あたりが 彼女たちの ベッドタウンと

して発展したということです。歌舞伎町で働く女の子たちの 中にはビザのない人も いる

し、初めは日本語もできないので、できるだけ職場から 近い所に住みたかったのでしょ

 
●●韓国人女性が支える大久保韓国人社会の経済●●

さらに5年位前から本格的に、大久保地域に食品店とか飲食店とかビデオショップなど

、 いろいろな韓国人向けの商店ができてきました。新宿では職安通りが一番 盛んです

が、 職安通りから大久保通りにかけても、そいういう商店ができています。ですから、

本格的に韓国人のコミュニティといようなものが形成されたのは5年前ではないかという

話を 聞きました。

朴さんという韓国人研究者の1997年の調査によると、新宿あたりでは韓国人経営の

スナックやクラブや飲食店が合わせて300店以上あり、東京全体の4割くらいを占めて

います。 これは、韓国の情報誌をもとに韓国店舗の種類と数を調べたものですが、

99年の現在では もっと増えていると思います。バブルが崩壊してクラ

ブとかスナックという 高級な店は 減ったかもしれませんが、逆に食堂とか、今流行って

いる韓国エステなどは たくさん増えています。

そういう所で働く女性たちのみならず、

女性たちを支える各種の商店や事業所とか、そういう所の経営者とか、またそういう所で

アルバイトとして働いている学生たちが 大久保地域に住んでいると思われます。あと韓

国の商店が多いので、 便利であるということですね。大久保地域の韓国人の社会なん

ですけれども、女性たちが大久保の韓国人社会を経済的に支えているといっても過言

ではないです。
 
●●大久保に住まいを求める韓国人たち●●

店や不動産屋に聞いた推定ですけれど、大久保の韓国人の男女比率は4:6 あるいは

3:7で女の人が多い。住まいを借りる人は、家族よりも単身者が圧倒的に多くて9割 く

らいを占めています。年齢的には20~30歳代が圧倒的に多い。 80%以上が若い人た

ちだそうです。

不動産屋の話によると、学生と女性と就労者の比率は5:3:2ではないかという推定でし

た。 就労者というのは、だいたいオーバーステイなんですが、新宿あたりでは、女性は

クラブの 台所で下働きに入っているとか、男性なら土方とか3Kと言われる仕事に就い

ています。 新宿北口や大久保駅周辺では民宿(民泊)があり、朝食付きで1日1,300~

2,000円くらいで 泊まれます。観光者として来日して、昼間は仕事を探して1週間~1ヶ

月程度泊まっています。
 
●●韓国人経営者たちの心のうち●●

大久保を中心として主に職安通りあたりなんですけれども、新宿一帯で韓国人の自給

自足が できるほどの生活圏が形成されていると思います。しかし、韓国人の コミュニテ

ィ組織は できていません。一昨年11~12月に職安通りで、大きな店を もっている有力

者が数人集まって、 職安通りの商店経営者を中心にコミュニティ組織を つくろうという

動きがありました。 祭りをつくって、将来的には横浜の中華街のようにしようとしたようで

すが、 力が足りなかったのか、結局組織化されなかったですね。

韓国人経営者の意識は、人によっても違うんですが、私の知っている限りでは、男性な

らばできるだけ長い間、一生日本に住む感覚を持っていると思います。

子どもたちも日本で一緒に住むつもり。女性の経営者は年をとったらは韓国へ帰りた

い。 お金をたくさん貯めて3年くらい

で帰りたいという感じです。歌舞伎町などで高給をとっている女性の場合は、お金が貯

まると、日本で同じ商売や美容院、食堂等の経営を始めたりします。あまり韓国へ帰国

しようとは思わないようです。また国際結婚も少なくないと思います。