2003年11月13日(木)、大久保地域センターにて、第2回情報交換会を開催。今回の情報交換会では、「まち居住研究会」の新しい活動について提案がありました。 |
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●「まち居住研究会」活動再開へ向けて
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★住まいという箱の提供から、住まい方の文化の創造へ (荻野政男)
「まち居住研究会」では、大久保を拠点に外国人の住宅問題について勉強会を重ねる中で『海外の賃貸借事情』と『日本の賃貸借契約システムの改善に関する提案』をまとめ、さらに大久保に特化して『きょうから大久保』という冊子を発行しました。当時は、日本の賃貸借の仕組みがおかしいから、外国人への入居差別などの問題が起きるのだ・・という視点で活動してきましたが、ここ2,3年、賃貸住宅市場では空室率の上昇に伴って大きな変化が起きてきています。外国人への賃貸へのハードルが低くなり、貸す側(不動産業者や家主)も外国人への賃貸に慣れることで、外国人へ住宅を貸すことがそれほど難しいことではないと認識されるようになってきました。
一方、私も“J&F ゲストハウス”という、いろんな国の人たちが共同生活をするコミュニティ・ハウスを事業化するなかで、最近、日本人の若い人たちの意識も変わり、一緒に誰かと住まうシェアリングを希望する人が増えてきていると感じます。海外でシェアリングを体験した若者が、日本でもそういう住まい方を求めているようです。“J&F ゲストハウス”は、英語でのコミュニケーションに惹かれて入居者が集まってきますが、英語に限らず、そこに住まう人たちが、自分の持っている能力や得意技を相互に提供しあう「コラボレーション
・ハウス(仮称)」というのがあったら面白いと考えはじめました。例えば、引退した学校の先生と若者が一緒に住まう、ミュージシャンと誰かが一緒に住まう・・。私たちは、これまで住まいという箱を提供してきた
のですが、住まい手は箱ではなく住まい方の文化を求めはじめていると思います。日本では、近ごろ
コンバージョン(建物の用途変更)がクローズアップされていますが、いわば、住まい方のコンバージョン
を考えようという提案です。
まち居住研究会は発足以来、外国人居住を考える活動を続けてきましたが、もともとは、「外国人に限らず、高齢者、障害者、ひとり親世帯、子どものいる世帯への入居差別などが存在している。だから外国人の住宅問題を考えることは、すなわち、私たち自身の住宅問題を考えることである。」というスタンスで活動して
きました。研究会の名称を「外国人居住研究会」ではなく、「まち居住研究会」と定めたのも、このような思いがあったからです。とはいえ、この10年間は、外国人の住宅問題をとりあげることで、私たち自身の住宅問題も見えてくるという視点から、外国人居住問題をレポートし、その問題をひとりでも多くの方と一緒に考えていこうと活動してきたと言えるでしょう。しかし研究会活動がはじまってから約10年が経過し、外国人居住をとりまく状況も大きく変化してきました。これを契機に、「まち居住研究会」が本来めざしていた方向・・外国人も含めて多様な文化・価値観・ライフスタイルの人々によって構成される私たち自らの住まいと住まい方について考えるときを迎えたのではないかと思います。荻野さんの提案を受けて、2004年、春、研究会は
新たな展開を予定しています。 |
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●外国人と住まいに関する情報 |
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★「外国人居住安定のためのガイドライン」の完成
昨年度、国土交通省の補助金を受けて開催された「外国人の居住安定方策検討委員会」で検討された『外国人居住安定のためのガイドライン』が、(財)日本賃貸住宅管理協会からまもなく発行されます。内容は主に、不動産業者を対象とする外国人への賃貸実務マニュアルです。資料編には、日本語・中国語・コリア語・英語・スペイン語・ポルトガル語による標準契約書や重要事項説明書のほか、外国人への賃貸に役立つ情報も掲載されています。
*「外国人居住安定のためのガイドライン」へのお問い合せは、
(財)日本賃貸住宅管理協会(03-5276-3444)へ
★公営住宅における外国人住民の増加
このところ関東・東海地方をはじめ各地の公営住宅で外国人の入居が増えています。入居者は、中国帰国者やインドシナ難民関係者と日系人が多く、公営住宅でも住まい方のルールをめぐってトラブル等が発生しています。民間住宅であれば家主さんや不動産屋さんが対応しますが、公営住宅では自治会がその対応に追われているというのが実状です。しかし近年、公営住宅では高齢化が進んでおり、自治会活動も停滞するなか、解決策がなかなか見いだせない状態が続いていて、外国人居住の新たな課題となりそうです。
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●大久保と多文化に関する情報 |
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★新宿区の『新宿区地域福祉計画中間報告』
新宿区が今年度作成している『新宿区地域福祉計画中間報告』のなかで、外国人との共生にかかる課題が取り上げられました。また(財)新宿区文化・国際交流財団では、今年9月から外国人意識調査を実施しており、来年1月以降に結果が出るのではないかということです。
★共住懇が修学旅行で旅行会社と連携
今年の5月に新潟市立下山中学校の3年生131人を修学旅行で大久保・百人町に迎え入れた共住懇では、その後、旅行会社から「大久保地域を、ひろく修学旅行コースとして取り上げたい」との要望があり、現在、共住懇と旅行会社の間で具体的な検討が行われているそうです。 |
情報提供:稲葉佳子、荻野政男、金沢祐吉、山本重幸、 |